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医薬品自動倉庫内の温度監視システム
医薬品流通のあるべき姿を追求した高機能物流センターにおいて
温度トレーサビリティの完全化を目指す取組み
株式会社メディセオ様では、医療におけるサプライチェーン全体の最適化をめざし、安全・安全・効率的な流通サービスを提供されています。医薬品適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した活動を統括し物流に関わる品質の向上を図るため、GDP統括部を設定しています。
メディセオ様におけるGDPへの取組みと、2023年8月より導入を開始されたGDP対応クウラウド型温度監視システムについて、GDP統括部長の友藤様とGDP統括グループマネジャーの新田様に、最新の高機能物流センター「阪神ALC」にてお話をおうかがいしました。
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高機能物流センター(ALC・FLC)
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株式会社メディセオ ロジスティクス本部
GDP統括部 部長
友藤 喜章 様 -
株式会社メディセオ ロジスティクス本部
GDP統括部 GDPグループ マネジャー
新田 友美 様
メディセオにおける品質管理
国内トップの医薬品卸である株式会社メディセオ様では医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインへの対応を積極的に推進されています。この取組みの全体を統括する役割をGDP統括部で担われています。
「GDP統括部は、物流センターや支店拠点(デポ)などの事業所における医薬品流通の品質管理を適切に行うための責任を担っています。
医薬品の品質管理に関するシステムを構築したうえで、各物流センターにおいてGDP組織を設立し、GDP活動を開始しました。
従事者への定期教育や衛生管理から始まり、倉庫内の温度管理、輸配送時の温度管理など事業所ごとにそれらの実行項目が実施されているかどうかの確認、また事業所で実施するための教育訓練内容の作成や品質管理をチェックするためのシステムを構築しています。
この取組みをデポでも順次拡げており、GDP活動を通じて、全社で統一した品質の供給ができる体制構築を進めています。」(友藤様)
GDP統括部が目指す高機能物流センター(ALC・FLC)における温度管理の姿
全国各地で展開する高機能物流センター(ALC・FLC)における温度管理では、次の3点をクリアする必要があります。
- 全国にある物流センター温度の集中監視(本部と現場との連携)
- 温度マッピングの結果で温度センサーの設置場所変更の必要性が生じる場合の対応
- 有事の際も途切れることのない温度記録のしくみ
上記3点を含め、GDP統括部として求める要件を満たす温度監視システムがこれまで見つけられず、社内で運用を工夫しながら対応されてきた実態にありました。
「市場にある既存の温度監視システムでは、どうしても何らかの人手による運用を加える必要があったことから、各センターで行われる温度管理の状況やデータを、本部からリアルタイムで一括監視することは難しく、何か問題が生じると、本部と現場間の連携に関わる情報共有や対応に時間を必要としていました。
また、温度センサの設置場所の変更の必要性が生じた場合、その対応が容易ではありませんでした。
温度監視のための温度センサーの設置は、定期的な温度マッピングの実施結果に従って、測定温度が最も高いホットポイントと測定温度が最も低いコールドポイントとすることがGDPガイドラインで推奨されています。
マテハン機器など自動倉庫機能のための設備が多く、かつ、広範囲での温度監視を必要とする大型の物流センターでは、設置場所の変更が容易な無線式の温度センサーでは通信の信頼性や安定性に問題があり、また、電池が切れた際に温度記録が途切れてしまう問題もあります。
そのような問題を回避するため、これまで有線式の温度センサーを採用してきましたが、設置箇所の変更が生じた場合、電源の設置や信号線の配線変更で工事が必要となり、現場での柔軟な対応は難しい実態にありました。
また、停電や通信異常が起きても温度記録が途切れないようなバックアップのしくみも必要です。」(新田様)
GDP対応クラウド型温度監視システムの開発経緯と成果
新型コロナワクチン保管と配送で採用されたG-TAG TempView という温度ロガーをベースに給電・通信・クラウド監視が可能な温度監視システムを開発できないか?というメディセオ様からの提案がきっかけとなり、S3プラットフォームにより構築されたGDP対応クラウド型温度監視システムは、最新のALCである阪神ALCで導入されました。
- ※阪神ALCに関するメディセオ様のプレスリリース
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7459/tdnet/2333753/00.pdf - ※GDP対応クラウド型温度監視システム導入に関するプレスリリース
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7459/announcement1/91317/00.pdf
GDP対応クウラウド型温度監視システムを構成する2つのしくみ
クラウドシステム LogView
- マルチテナント方式により本部と各センターの両方での管理へ対応
- 問題発生時の迅速な判断と現場対応を実現
「各センター内はもちろん、本部からも各センターのデータをリアルタイムで閲覧可能なクラウドシステムLogView を開発いただきました。
LogViewでは、温度データやグラフはもちろん、アラート発報機能、倉庫温度の逸脱や温度センサー自体の異常があった際のアラートの履歴表示、また、ログインなどの証跡機能などセキュリティ面にも対応いただきました。
本部から各センターの温度データを一括監視できるようになり、温度データは10年間保管するしくみとすることで、トレーサビリティの確保や定期的な確認がクラウド上で容易に行えるようになりました。
また、温度逸脱など品質に関わるトラブルやネットワークに異常が発生した際、アラートが発報されるため、温度異常はもちろん通信異常についても、迅速に現場対応ができるしくみができました。」(新田様)
温度ロガー TempView GT101-T
- PoE方式による給電・データ通信
- 停電・通信異常時のバックアップ動作機能
「2つめの課題については、温度ロガーにPoE(Power over Ethernet)機能を搭載することで、LANケーブルの配線により、簡単に温度センサーの設置箇所を移動したり増設したりすることができるようになりました。これまでの無線式や有線式ではクリアできなかった問題が解決しました。」
「3つ目の課題、途切れない温度記録という点では、バックアップ用バッテリーとバックアップメモリを温度ロガーに搭載することで、停電など有事の際も、温度測定と測定データの記録が維持できるしくみが出来たことで解決されました。」(新田様)
システムを導入した後の現場からの声
- 以前は温度データを確認するために管理用のパソコン(オンプレミス)や自記温度記録計の場合はその場所まで行って確認しに行く必要がありましたが、システム導入後は自席でクラウドシステム LogView の画面で簡単に確認ができるようになり、業務が効率化しています。
- 何か問題があった場合、以前は社内連絡も含め、確認と対応に時間を要していましたが、今は本部、各センターの管理者、現場、それぞれリアルタイムで状況を共有することができます。アラート発報はスマートフォンに通知され、その後すぐに温度データを確認できるため、迅速に対応することが可能になったことで、作業の停止時間を大幅に削減できています。
- 10年間分の温度データが記録され、過去のデータがLogViewですぐに確認できるため、必要な時に調べたいデータを閲覧できることから、分析や傾向の確認が容易にできるようになりました。また、ペーパーレスにもつながり、紙ベースのデータに比べて、ファイリングなどにかかる時間や場所も無くすことができました。
GDPガイドラインに準拠するシステムの活用で品質管理をさらに高める取組みへ
さいごに、友藤様に今後の取組みについてお聞きしました。
「まずは、この温度監視システムを弊社の全ての物流センターに導入し、GDPに準拠した品質管理をさらに高めていくことです。
医薬品の品質管理は、全流通経路におけるトレーサビリティが重要です。神栄テクノロジーのスマートセンシングプラットフォーム「S3 PLATFORM」と連携することにより、将来的に卸から医療機関、 さらには患者さんのご自宅までの全行程において、一気通貫の温度トレーサビリティと医薬品流通過程の可視化が実現できると考えています。
これにより、社内だけではなく、流通過程のすべてにおける医薬品管理の向上へ貢献していきたいと考えています。」(友藤様)
※本内容は2024年6月現在のものになります。
※各サービスの仕様・デザイン等は改良のため予告なく一部変更することがあります。
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